岩手の工芸品南部鉄瓶

鉄分を補給して、美味しく健康な毎日を。

鉄瓶とは囲炉裏、火鉢等で水を沸かす道具ですが、現在ではアルミ・ステンレス・ホーロー等の道具と明らかに違いが有ります。
特に鉄瓶と言えば南部鉄瓶が良く知られている鉄瓶ですが、鉄瓶は鉄分の補給に効果のある南部鉄瓶や茶の湯釜に代表される南部鉄器の溶出鉄は、吸収されやすい2価鉄が多いことがあきらかになり、南部鉄器の利用は鉄分の供給効果に有効であることが認められております。

鉄瓶の効能

岩手大学教育学部　医学博士　及川桂子氏の研究報告書にて、科学的にも証明された南部鉄瓶の鉄分補給の効能は、マスメディアでも注目を集めて居ります。

南部鉄瓶は貧血予防に絶大な効果も絶大で、現在私たち5人に１人が貧血症、または準貧血症と言われています。南部鉄器は、鉄分の補給に効果的であり、アルミやステンレスのケトルなどで湧かしたお湯では得られない効果があります。水道水が、南部鉄瓶で沸かしたお湯は、カルキ（塩素）をほぼ除去しますからお湯がまろやかになり、日本茶はもちろんのこと、紅茶、コーヒー等の飲物が美味しくなります。また、アルツハイマー痴呆の予防にも、効果があると言われております。

鉄瓶の価格

南部鉄瓶は中国製の２９８０円から４０００００円まで幅があります。金龍堂の造草花金銀象銀瓶が有名ですが、やはり急須と言えます。
金寿堂の銀瓶は急須として作られたものだと思うのです。中に茶漉しが入っていますし、本来鉄瓶に茶漉し（ちゃこし）はありません。かし、急須は中に防錆剤がぬってありますから直火にかけられません。

亀文堂・龍文堂の鉄瓶は岩鋳の鉄瓶兼用急須は直火にかけられるので、鉄瓶と呼ぶことが出来ます。内側には簡単なさび止めコーティングはしてありますが、鉄がお湯に触れるので、鉄分がでます。

現在、砂鉄の鉄瓶は作れる工房が限られていることと、また砂鉄はもう鉱山もとうに閉山しておりますので、新たに採掘できません。ゆえに今は20万円前後では砂鉄の鉄瓶は購入できません。岩鉄の鉄瓶で最高レベルのものは、15万円程度の道安型鉄瓶や、霰紋棗鉄瓶（あられもんなつめ）などです。どちらも最高レベルの造りであり、世にあるほかの 10万円台の鉄瓶も含め、鉄器職人の何十年という経験と、工房の長い歴史が刻み込まれた逸品です。

アラレの１つ１つは、霰押し棒という棒で丹念に押して作っていきます。平均して1つの鉄瓶で 2000個。あの粒々を１つ１つ手で作っていきます。

こうして出来た型も、1回つかえば壊れてしまいます。精巧で緻密なデザインゆえ、鋳型と呼ばれる型から鉄瓶の本体を取り出すと、その際に型は壊れてしまいます。鉄瓶は本来、気の遠くなるような作業工程を経て作られます。またその作業を実現している方は、どの鉄器工房にもいるわけではありません。じつのところ、高い鉄瓶というものは、そのレベルの仕事ができるから存在するわけです。